もう、抑えられない
すっかり、は相葉ちゃんとラブラブらしい。
一緒に寝たなんて言っている。
わたしはあの人と、一緒の部屋で寝たけれど何もなかった。
は本当に何も起こらなかったのかな?
わたしだったら、もし元カレに添い寝してほしいって言われて、その元カレのことが好きになってしまっていたら、絶対に添い寝だけじゃ我慢できないな。
相葉ちゃんの寝顔を見て可愛いと思ったっては言う。
わたしはあの人の寝顔を見て、たくさんの感情にどうにも胸がぎゅっと掴まれてしまい、泣いたんだった。
よくあの日あの人は、わたしのことを少しの間でも家にあげてくれたなと思う。
その後年末に大阪でのライブがあったから、がんばってくださいって改めてLINEを送ったら、「頑張りま〜す」となんとも緩めの返事が返ってきてからその後、消息は不明。SNSの更新もない。
新年明けてから送ったLINEは既読になったけれど返事が来ない。
それから何となく連絡ができない。
ジャカルタに帰ってるのかもしれないとか、家族と一緒にいるのかもしれないとかそんな気持ちで。
わたしは実家に帰り、自宅に戻った夜から急激に熱を出して救急病院でインフルエンザと診断されて、翔くんに散々な迷惑をかけて、やっと治って今日、に自宅に来てもらった。
「ねぇねぇ、ほんとに相葉っちゃんと何にもなかったの〜?」
「ないってば!あるわけないでしょ」
「好きな人と一緒に寝たのに?」
「だから、そんな単純なものでは…」
は頰を真っ赤にして、なんだか少女のように可愛い。
気持ちに素直になるってとても大切なんだなぁと思う。
わたしは相葉ちゃんのことものことも好きだからとても嬉しい。
森田さんのことが嫌いなわけではもちろんないけれど。
応援順位の問題、そういうこと。
「あのね、変なこと聞いてもいいかな?」
「えっ?雅紀とはとにかく何もないからね」
「あのね、違うの…相葉っちゃんにそんなにお熱で、森田さんとはうまくいってるの?夜は」
「え?」
「営みの!にゃにゃにゃにゃにゃ♪にゃーにゃにゃにゃにゃ!」
流行りに流行った曲のメロディを猫チャン風で歌ったら、はあからさまに顔をしかめた。
「そんなこと?最近星野源好きだよね」
「恋ダンス練習してるもん!違うの、その、お泊まりの時の営みはどうなのかなって」
とは実はあまりこういう話はしない。
相葉ちゃんとは恥ずかしがらないでそういう話もできるんだけど、女の子同士だと話せない、なんでだろう。
案の定も恥ずかしそう。
「新年早々大丈夫?やっぱりまだ熱っぽい?」
「ないってばー!バイキンはもうどうっかいったもん」
「本当?…まぁ、あれだよ、普通に会ったらその時は…ね」
「えーそうなの!すごい!けっこうたくさんしてるんだー」
「その言い方やめて!えっ……まさかレスなの?減ってきたと噂には聞いているけど」
「ううん、でもインフルエンザの時はできなかったから、もう少しの間してないかも」
「同居が長くて、まだの言うところの営みがあるのがすごいと改めて思うよ」
何とも言えない表情では笑って、少し安心したようだった。
帰っていくを見送って、傍にどけておいたパクチー栽培キットが目に入った。
どうしよう、見つかってしまった。
これはあの人のライブで、キットを売っていたから勢いで買ってしまったグッズなのだ。
フォーにはパクチー。そのために、パクチー。
翔くんはあんまりパクチーが好きではないから、うっかり見られた時には、ちょっとそれ何?というような目つきをされた。
隠しておこう。隠して栽培しよう。
「DEAN FUJIOKA」とデカデカと書いてあるラベルを剥がしておいて本当に良かった。
はぁ、それにしても翔くんには本当に悪いことをしてしまったな。
お互いに年末はせわしなくしていたけれど、年が明けて翔くんが明らかに夜の時間を持て余している時、わたしは熱でウンウン唸っていたし。
営みも…もしかしたらプチ家出した喧嘩の前から、してないかもしれない。
喧嘩の原因もそんなようなことだった。
とりあえずあの人からは当分返事がなさそうだから、わたしは寒さ凌ぎにベッドに入る。
とのお茶のお片づけは、後でいい。
最近のわたしは寝てばかりだ。
浅い、浅い眠りの中で、とてもいやらしい夢を見てしまった。
夢なのにすごくリアルで、相手は誰かわからないんだけれど、快感がとても本物だった。
相手がわからないって、ちょっと不謹慎だな。
「あっ」
あまりに気持ちよくて思わず大きな声が出てしまい、そのことに驚いて起きた。
仕事帰りの翔くんが寝ているわたしの体のすぐ横に座ってて、わたしは思わず顔を覆う。
「やだぁ」
「やじゃないでしょ、まさかイッちゃったの?俺なんもしてないよ」
「……」
「ずーっと、エロい声出してた。エッチな夢見てた?」
「う、うん」
「ちょっとおっぱい触ったら、すごい気持ちよさそうにしてたよ」
「触ってたんじゃない!なんで触ったの?」
「いや、明日から福岡でしばらく顔見れないし」
そんな風に言われると、断るものも断れなくなる。
元気な時に断る理由なんて何にもないのだけれど、たぶん最近何度も拒んでいた。
本当はあの人のことが頭にあって、どうしても翔くんとそういう気分になれなかった。
翔くんの指が足の間に伸びてくる。
たぶん欲求不満は翔くんだけじゃない。
わたしもだったんだと思う。
「あー、中すごいぬるぬる」
「待って、待って翔くん」
「何?俺ちょっと我慢できないんだけど」
「あの…お願いがあってね」
「何?」
「もう1回、いかせてほしいの」
「さっきはが勝手にイッたんだよ」
「しらないもん」
「イクの好きだからな、は」
翔くんはお得意の半笑いを見せながら、邪魔する布がなくなったわたしの足を少し開かせて、再度指を差し込んだ。
それ見たことかと言わんばかりに快感がやってきた。
「すごいね、おもらしいつもより多い」
「だめ、だめったくさん出る」
「いいよ」
水音と共にあっという間にシーツの色が濃くなって、同時に頭がばかになりそうな快感に襲われる。
ちょっとマンネリしてきていた翔くんとの営みに、久しぶりの感覚が体を熱くした。
翔くんは満足そうにわたしの体を引き寄せて、そしてあとは自分のペースで腰を打ち付けた。
されるがままになったけれど、確実にとても気持ちがよくて、わたしは何度も声をあげた。
あの人とはこんなことするの考えられない。
性的なことと結びつかない。
でも子供がいるくらいだから、こういうことを奥さんとしないわけではないんだろう。
あっ、でも今奥さんは身重だから、しないのかな。
明日から翔くんは数日いない。
あーあ、わたしはどうやって過ごせばいいんだろう。
今日本にいるの、それともジャカルタにいるの。
翔くんがわたしの中でうすっぺらなラテックスごしに果てて、あの人の寝顔を見たときみたいに涙がぽろっと出た。
恋ダンスだって、あの人と見せ合う約束して練習しているんだもん。
2017/1/6 6号