ドキピー

目が覚めて思うこと

「で、結局のところ相葉ちゃんはちゃんとどうなの?」


バスタブにはラッシュのバスボムの泡がいっぱいで、それをかき集める遊びをしていたら髪の毛を洗い終わった翔くんが少し眉を下げてわたしに尋ねた。


「そっ、それは…詳しくは、双子秘密条約で言えません」
「相葉ちゃん帰ったからいいじゃん」
「うっ…たとえ翔くんでも、ひみつなの」
「緊急会議とか絶対なんかあったよね。こっそり教えて」
「だめなの!先にあがるね」




相葉ちゃんは急遽遊びに来た。
とついに事に及んだと聞いて、が自宅に戻るからチャンスよと連絡したわたしは相葉ちゃんを褒めてあげたくて、嬉しかったし、それを聞いてとてもドキドキした。
何年も間が空いた人とそういうことをするとき、きっとその隙間を埋めるように行為はせつないと思う。
完全に憶測だけどそんな気がする。


「カレーおいしいね!ご家庭のカレーって感じだよ!」
「ご家庭のカレーだよが作ってるんだから」
「ルーはバーモントカレーだよ〜」
「ハウスはジャニーズ御用達!さすがちゃん!」
「なんでそんなにテンションたけーの?」


翔くんが帰ってきてから一緒に夕飯のカレーを食べている間、相葉ちゃんはいつも通りだった。
もちろん翔くんは双子会議の内容が相葉ちゃんのにまつわることだって知っているけど、家主の帰宅後会議はすぐ終了したから翔くんは全部を知らない。
どこまで話せばいいのかわからなくて、2人がいい感じらしい、としか言っていなかった。


「つまるところ、あいばっちゃんは、と仲良しなの。ねー!」
「ねー!」
「ぜんぜん詰まってないじゃん。わざわざ家まで来て」
「いやいや翔くん!ちゃんは本当に頼りになりますよ、双子として俺は自慢だよ!」
「ありがたいことです!」
「じゃあ仮に相葉ちゃんが仲良しなのはいいとして、ちゃんは森田くんとはどうなってんの?」


翔くんの質問に、本当にうっかりすれば気づかないくらいの一瞬の間が空いた。


「いいじゃない。未婚だし」
ちゃんのご家庭カレー本当においしいね」
「え、君たち揃ってテンションのアップダウンすごいね」



その時翔くんは笑いながら言ったけど、何か察したかしら。
とのことを不適切な関係だって相葉ちゃんは言った。
確かにの立場になれば浮気かもしれない。
ばれたら森田さんが悲しい顔をするかも。
そうかもしれないけれど、それでもわたしは否定しない。
隠さなくてはいけない関係は時に美しい…いつか見たドラマに影響されてるかも。



お風呂から上がってきた翔くんが、髪を拭いていたわたしのことをそのままベッドに押し倒す。


「ねぇ、昨日もしたよ」
「泡の風呂さ、なんか興奮しちゃった」
「どうして?」
「興奮するのに理由いるの?」
「…質問したのに、質問で返ってき……あっ、やぁん」
「したいからするの。俺たちは普通に付き合ってるんだからそれでいいじゃん」
「わ、わたしにもタイミングが、あって、」
「かわいいなーは」


急に気持ちがひゅっとなる。
Doublethink…二重思考。
相反するふたつの考えを同時に持ち、それが矛盾しているとわかっていながらも信じて受け入れる、そんな概念。
わたしはもしかしてあの人とは、不適切とまで言わなくても、あまり適切ではない関係なのかしら。




2017/1/27 6号