ドキピー

押しても駄目なら引いてみる

基本的な活動時間は夜。昼間は仕事でテレビ局にいるかロケに出ているか。
たまの休みは昼間は自宅でゴルフの練習したり、後輩とか風間とかきみちゃんが遊びに来たりする。
少し前までは女の子が出入りすることもあった。
前にちゃんとウォーキングデッド会を開催した時に、女の子からの連絡をちゃんに気づかれたことがあって、その時に色々面倒になって着信拒否にした。
それからは一筋。別の子からのお誘いはお断りしている。
そもそも手広く遊んでる暇もないし。
とはいえ、俺はの彼氏じゃないし、なんなら元彼から間男に成り下がってしまったし。
この前昼間にに会えたのはすごく珍しいことで、俺の基本的な空き時間は夜中。
普通の会社でカレンダー通りで働いているは寝ている時間だ。
しかも彼氏じゃないから自由に会えるわけじゃない。


「はぁ……」
「辛気臭い」
「そんなこと言わないでよ!まあ飲んで!」
「なんで俺が付き合わないといけないの?お友達誘いなさいよ」
「風間が無理だって言うんだもん!」
「既婚者にこの時間は無理だろうね。3時になったら帰るから」


ニノに無理言って家飲みに付き合ってもらってる深夜1時。
一度と一線を越えたら毎日会いたくて仕方なくなってしまった。
それまでは、会えないのは仕方ない事だし、諦めてる部分があったからまだ楽だったのに。


「はぁ……」
「なんなの?さっきから」
「ニノは恋してないの?」
「俺は恋多き男だよ」
「でも長続きしないよね」
「向こうが愛想尽かしちゃうんだよ」
「冷めてるんだから」


ニノみたいな思考になれたら楽なんだろうな。
それはそれ、これはこれ……で考えられたら。
ひとりでいるのは、それはそれで良いってニノは思ってるんだろう。
忘れていたの体温を思い出してしまったから、そんな風に考えることができなくなってしまった。


「何があったのよ、と」
「えっ!!それは言えない!それは双子秘密条約を交わしたちゃんしか知らない極秘事項だから!」
「何そのバカっぽい条約」
「バカではないです!」
「相葉さん、気をつけなさいよ」
「なにを?」
「よく知らないけどだいたい想像ついてるからね」
「えっ!!な、な、なに?なんのこと?」
「俺が、からかって遊ぶに遊べない感じになってきてるんでしょ。どうせ」


流石すぎる。
何も話してないのに、だいたい合ってる。
ニノにとの事を詳しく話すつもりはない。
そういうつもりで飲みに付き合ってもらったわけじゃないから。


「あんまり深刻な状況になるといじり甲斐なくなるから頼みますよ」


唇の端を意地悪くつり上げている。
俺を心配していると見せかけて、自分が面白ければいいの精神なのは流石だ。
全くブレない。
それからはしょうもない話しをしながらテレビを見たりして、あっという間に3時。
本当にニノは時間通りにあっさり帰っていった。
よろよろとベッドルームに入って、うつ伏せに倒れこむ。
LINEを開くと、暗い部屋に携帯の明かりが目に痛い。
は今頃深い眠りの中で、へたしたら剛くんが隣で寝てるかもしれないわけだ。
お酒が入っているせいもあって思考がいい感じに重たい。
いっそ寝てしまった方がいいと思って布団へもぐりこんだところでLINEの通知音がした。
こんな時間に連絡してくる人物は何人か心当たりがある。
画面を見るとその心当たりの一番に思い浮かんだ人物からの連絡だった。


『眠れナイトだよ~こんな時間なのにアイス食べたくなっちゃった』


双子でおなじみのちゃんから。
ちゃんもわりと夜行性だから、このくらいの時間にLINEのやり取りをする事がある。
しかもこんなタイミングの良い時に連絡をくれるちゃんは本当にミラクルガールなんじゃないだろうか。


『アイスはこの時間は我慢して!俺は恋わずらいで眠れナイトだよ~』
『あーん……相葉っちゃんその気持ちはとても分かるわ』
『ちょっと考えたんだけど……やっぱり主導権を握らないとダメだよね』


今の俺との関係性はどう考えてもが主導権を握っているような気がする。
それじゃダメだ。俺が主導権を握らないと、は剛くんのところからこっちへは来てくれない。


『相葉っちゃんその意気よ!押してダメなら引くのよ!』
『そうだよね!?やっぱそういう古典的な方法がいいよね!』


流石ちゃんだ。ニノと話していてもさっぱりだったのに、ちゃんとちょっとLINEしただけで方向性が見えてきた。
やっぱりちゃんは俺の駆け込み寺なんだな……と強く実感する。


『俺はワルになるよ』


そう送ったらちゃんから囃し立てるようなスタンプが連続で送られてきた。
俺は逆にアルバムの中にあったリーダーの写真を送ってあげる。
それが面白かったのか、ちゃんからも素の表情になって、油断した翔くんの写真が送られてきた。
こうしてしばらく写真合戦が続くのであった。




2017/2/7 18号