恋人ごっこ
それにしてもびっくりした。
まさか翔くんとちゃんが俺が遊びに来ているにも関わらず寝室でこっそりいちゃいちゃしてるなんて。
しかも二人共よく知ってる人物だから見てはいけないものを見てしまった感がすごい。
前にウォーキングデット会をしてちゃんが泊まりに来た時、翔くんが迎えに来たんだった。
流石にいくら仲良くても泊まりはない、とかなんとか言って。
もしかして今回も俺が勝手に遊びに来たのがいけなかったのかな。
翔くんてば俺なんかにヤキモチ妬いたりするんだなあ。
男女の友情は成立しないっていうのが世間の大半が思ってることかもしれないけど、俺とちゃんはその中でも双子の特別なものなんだ。
まあ実際双子じゃないけど。
「ていうことがあってさ、超焦ったよ!」
「流石に私もふたりのラブシーンは見たことないよ……あのふたり相変わらずなんだね。なんか安心した」
「だよね。俺も安心したよー最近ちゃんたまにアンニュイだった気がするし」
仕事が終わって、がまだ寝てなかったら電話をかけることにしてる。
0時過ぎるとはたいてい寝てるからそういう時は泣く泣く諦めてるんだけど。
「がアンニュイ……言われてみればなんか思い当たるような……?ないような?」
「どっち!?」
あははは、と笑うともくすくすと笑ってる。
ああ、なんて幸せなんだろう。ハピネス。
俺はヤキモチといえば剛くんにはそれなりにヤキモチ感情を抱いているわけだけど、はどうなんだろう。
翔くんが俺にヤキモチ妬いたみたいに、はちゃんに妬いたりするのかな。
「ねぇねぇ、ひとつ聞きたいんだけどさ」
「ん〜?」
「はさ、俺とちゃんが仲良くしててヤキモチとか妬く?」
「全っ然!」
力強く否定されてしまった。
ちゃんに対してヤキモチ妬かれても困るけれど、そんなすぐ否定されるのも寂しいものがある。
「には妬かないけど、それ以外には……まぁ……まぁ」
の言葉でこの前の事を思い出した。
そういえばバレンタインのチョコをたくさん貰ったことをやけに怒ってた。
そしてその後に起きたR指定な事を思い出すと、妙な気分になってしまう。
いけないいけない。違う事を考えよう。
「の口からそんなこと聞ける日が来るなんて思わなかったよ」
「本当だよね〜自分でもびっくりだし、屈辱的?っていうか」
「そこまで言う!?」
「ドラマの撮影はじまってるんでしょ。すぐ女性を口説く貴族の役なんでしょ?」
「え、詳しいね」
「今の私ドラマでも平気でヤキモチ妬きそうでこわい」
どうしよう。が可愛いこと言ってる。
俺は今モウレツに感動している。
やっぱりどう考えても幸せだ。ハピネス!
「ねぇねぇ、さこの前剛くんより俺のダンスをじっくり見てくれてたんでしょ?!」
「な?!?な、なんでそれを….」
「やっぱ本当なんだ?!」
「だからなんでそれ……?!」
にしか話してないからしかいない、と電話口でぶつぶつと文句を言っている。
勘違いしそうだ。
の愛が今俺の方にあるって。
本当にそうだったらいいのに。
剛くんでは埋められないものが俺で埋められるなら側にいてあげたい。
「ねぇ、」
「ん?」
「俺は別に2番でもいいんだよ」
本当は1番になれたらそれがいちばん良いし、を独り占めできたらと思う。
でもそんなこと言ったらはきっと無理をするに違いない。
それで俺か剛くんか選ぶことになって、選ばれたのが俺じゃなかったら……なんて考えるのもつらい。
それだったら2番でいることを選ぶ。
そうすればと長くいられる。
「だからさ、むずかしく考えないでね?」
「……1番とか2番とか、ないから」
「え?」
「ふたりに順位なんかつけられないから」
の優しさなのかな。
剛くんと同等でいられるなんてすごく光栄なことだ。
嘘でも嬉しい。
「ありがとダイスキ!」
素直に本当にそう思える。
電話口ではちょっと照れたようにやめてよと笑った。
明日は俺も撮影で朝が早い。台本も読んで台詞を入れなくちゃ。
におやすみを言って電話を切る。
今夜はぐっすりと良い夢が見れそうだ。
恋する吐息が漏れた。
2017/2/28 18号