ドキピー

恋だの愛だの

「どうしての猫耳持ってるの?」


わたしは心底びっくりして、差し出された白の猫耳をそのまま手の中におさめた。
はアイスティーに視線を落とし「雅紀が返しといてって」と少しいつもより早口で言う。
スタンダードな猫耳がなくなったと思ったら、相葉ちゃんから返すねと一言LINEが来て、そうだ踊りの練習に勝手に付き合った時に忘れてきてしまったんだと思い出したんだったけど、でも、どうしてが…?
はっ!とわたしは気づいてしまった。
が相葉ちゃんの家にまた行ったのだということに。


「最近いい感じね」
「何が?」
「あいばっちゃんからはいろいろ聞いてるの、仲良くしてるって」
「いろいろって」
「ねぇこの猫耳もしかして」


早口があやしかったのでなんとなく察してしまった。
最近貴族ごっことか特殊な遊びをしてる2人だもの。
間違いない。


「この猫耳を小道具にセックスしたの?」


それでもわたしはストレートにものを言いすぎただろうか。
が派手にむせ返る。
どうやら図星だったらしい、図星だとは概ね見当ついてたけど。


「いやそれはさ、雅紀が勝手につけてきて」
も翔くんと猫ちゃんプレイはしたことないのに、先越されたー」
「えっ、そうなの!?翔くんはそういうことしたがらないの?」


たくみくんが、つけてみようかって真顔で言っていたけど、3回目には及ばずあの日はあれからすぐに帰った。
翔くんは猫耳がわたしの衣装で商業感を感じて萌えは見いだせないのか、そういうふうな流れになったこともない。
ちょっとうらやましくなってしまった。
…なんて。


「この猫耳にあげる」
「え、でも、のだし」
「もうとあいばっちゃんのだよー」
「大事なやつなんじゃないの?」
「また買えばいいもん。あげる。また使ってね」


1度返ってきたものを、またに差し戻した。
は少し困った顔をして、受け取った猫耳をバッグにしまう。
少し抗議じみた視線も感じたけれど、そんなのかわいい感じだし。


「ねぇ雅紀にも言ったんだけど、ダンスの練習でまでミミをつける必要はあったの?」
「えっ!その発想はなかった!だってつけた方が本気でるし」
「本当に双子は恐ろしいよ」
「あいばっちゃんは犬耳だよー」
「私は雅紀の犬になりたい…」
「きゃー!何?爆弾発言!!」


やめて、忘れてとが今日いちばんの大慌てを見せる。
犬になりたいってめちゃくちゃやらしい。
首輪をつけて、この手で飼うの。
でもどちらかというとわたしは猫のようにすりすり自分から都合のいいときにたくみくんや翔くんにすり寄るずるい女だ。


は猫でいたいな」
「飼われたくないってこと?」
「ううん。自由な飼い猫」
「翔くん大変そう」
「えへへ」
「どちらかというとワンと鳴きたい」
「えー!それも爆弾発言!」


本当はぬくぬくあの人のとなりで毛布にくるまって丸まって座っていたい。
そしてあの人は気まぐれな猫じゃらしでわたしをからかうように遊んでくれる。
考えてから、プライオリティおかしいなって思ってわたしはふるふる首を振った。
写真だけではなくて、猫耳をつけたわたしを直接見たらあの人どんな顔するだろう。
何も起こさず、肌にも触れず、ただ相手をしてもらうだけでいいのよ。




2017/4/11 6号