ドキピー

恋模様、パラソルラバー

いつもの嵐の前室、いつもの定位置にみんなが座っている。
テレビに一番近い位置は翔くん。
チャンネルの切り替えは全部お任せだ。
ニノとリーダーは隣に並んで座って、相変わらずパズドラを軽快にプレイするニノのスマホの画面をリーダーが覗き込んでいる。
松潤は俺の正面に座って読書中。
タイトルは…「民主主義の条件!?」思わず声に出してしまった。


「す、すごいの読んでるね。政治家目指してんの?!」
「まさか。でもそういう役来てもいいように勉強しとくにこしたことないでしょ」


さも当然かのように言ってのけて、再び読書を再開し出す。
ニノが「流石だねー」と合いの手を入れて、リーダーも「流石松潤だね」と頷いている。
翔くんは特にこの話しには参加せずに、ぼーっとテレビを眺めている感じだ。
いつもなら翔くんも松潤の読んでる本に突っ込みのひとつも入れるだろうに。
そんな翔くんの様子にこの男が反応しないわけがなかった。


「櫻井さんどうしました?ついにセックスレスにでもなった?」


ニノが容赦のない言葉を投げかけると、ワンテンポ遅れて翔くんが振り返る。
振り返った表情は半笑いになっている。


「や、レスではない!けど、まあ最近ご無沙汰かなあ」
「あー!ごめん!この間俺がアバンチュール邪魔したばっかりに!」
「だからアバンチュールじゃないからね!」


つい先日元気の無いお疲れのちゃんを励まそうと櫻井家にお邪魔したところ、ちょうどそういう最中だったみたいで。
完全に邪魔した感じになってしまった。


「へぇ、ご無沙汰ねぇ……」
も最近忙しいからさ、帰り遅い日もあるし」
「帰りが遅い!?」


ニノが大きな声でわざとらしく言って、「大野さん聞きました?」と何故かリーダーまでも煽りに巻き込んでいる。


「それ怪しいよ!すごく怪しいよ!」
「何が怪しいのよ?」


翔くんは特に真剣に気にした様子もなく笑っている。
茶番に付き合う時の態勢になっているし。


「俺が思うにお宅のさんてセックス好きだと思うわけ」
「う、うん。まあ嫌いではないと思うけど」
「女性の性欲ってのは年齢と共に増す傾向にある!ね!?リーダー!」
「……そうだぞ」


巻き込まれつつもちゃんと乗っかってあげるのがリーダーの優しいところだ。


「つまり、そんなさんと最近ご無沙汰となると……これ以上わたくしの口からは言えませんけれどね」
「はいはい!ご心配ありがとう!」


やっぱり翔くんはニノの煽りを本気にしたりはしないらしい。
そんな翔くんの反応がつまらなかったのか、今度は矛先が俺に向いてしまった。
ニノと目が合った瞬間ゆっくりと逸らしてみる。


「相葉ちゃん」
「はい何でしょう」
「今目逸らしたでしょ」
「逸らしてないよ!」
「何か隠してることあるでしょ」
「ないないない!」


両手をぶんぶんと振って否定するけれどニノの追撃は止まない。


「いやあるね!ね?大野さん」
「隠し事ある顔してる」
「ちょっと!リーダーまで乗っからないでよ!そんな顔してないから!ね?!松潤!ね!?」
「知らない」


本から目を離さずに松潤は乗っかってはくれなかった。冷たい。


「この間さんとスーパーで会いましたよ」
「へぇ!そうなんだ!びっくりだね!」


そういえばも言っていたっけ。
ニノとスーパーでばったり会ったって。
この話を聞いて、翔くんも会話に加わってきてしまった。


「まじ?スーパーって相葉ちゃんとニノがよく行くあそこ?」
「そう。そこにね、何故かさんが買い物してたのよ」
「え?相葉ちゃんちゃんとそんな最近仲良いの?」
「いや……うん。えっと、友達としてね!」
「友達っつったて相葉ちゃんはちゃんのこと好きじゃん」


そう。俺がを好きなことはみんなが分かっていることだ。
そしてが誰と付き合っているのかもみんな分かってる。


「それこそとアバンチュールしてんじゃないかって話しなんですよ」


はい。してます。
なんて言えるわけがない。
こればっかりは俺とちゃんだけの秘密なのだから。


は剛くんの彼女なんだからありえないよ」


ありえない、なんて自分で言って悲しくなってきた。
思ったより辛そうな顔をしてしまったのかもしれない。
松潤が民主主義の条件をパタン!と閉じて「これ以上追求すると相葉ちゃん泣いちゃうから」と言ってくれた。
優しい。さっきは冷たいなんて思ってごめんよ。


「それよりも俺は翔くんとちゃんのセックスレスの方が気になるね」
「えっ!またうちの話し?!あとセックスレスではない!」


翔くんが松潤に突っ込みを入れて再び櫻井家の話題に戻る。
翔くんにはごめんだけどほっと胸をなでおろした。
目の前に置いてあったスマホにメッセージが表示されている。


『チョコレートケーキずるいんだけど!』


からだった。ちゃんに持って行ったケーキのことを聞いたに違いない。
にも買ってあげるから!とすぐに返事をして櫻井家問題の会話に参加した。




2017/4/21 18号