海沿い波打ち際シティーボーイ心中
「翔ちゃんお疲れ様っ!一緒に帰ろ!」
「え?なに待ってたの?」
「うん!」
歌番組終わり、司会業を終えた翔ちゃんを捕まえた。
「相葉ちゃん今日実家泊まるのかと思った。なに?デートの約束でもあるの?」
「そんなのないよ〜お誘いは来ますけどね」
「まじ?!が相葉っちゃんは一筋だから他の子とは遊ばないの!って言ってたけど」
「遊ばないよ?!遊んでないけどお誘いはまあまああるといいますか」
「へぇ、どんな?」
「ドラマで仕事した時のスタッフの子とか、ご飯食べに行きましょうよ〜とかそういうのだよ」
「行かないんすか?」
「翔ちゃんだったら行くの?!」
「んーー……が家でご飯作ってたら絶対行かない」
「いいなー。俺なんか毎朝自分でお茶作って水筒持って行ってるっていうのに」
こんな会話をしながらマネージャーの待つ車に乗り込んだ。
明日ある撮影は午後からでゆっくりだから実家に泊まろうと思ったけれど、なんとなく帰ることにした。
千葉にいるとなんだかとの物理的距離を感じてしまうから。そんなどうしようもない理由だ。
翔ちゃんは長いこと司会で忙しかったから、シートベルトをつけるなり目を閉じている。
スマホを取り出してLINEを開いた。
から返事はない。そのかわりに、歌番組見たよっていう女の子達からの連絡にとりあえず既読をつけていく。
ありがとうのスタンプを押そうとしてやめる。
「翔ちゃんどうしたらヤキモチって妬かないでいられると思う?」
「……今いい感じで寝れそうだったんだけど」
「ごめん!でも俺このままだとSNS見たりネットストークしそうなレベルまで来てるんだけど……」
「うわぁ……なんか一気に目が覚めた。聞くまでもないと思うけどちゃんだよね?」
「そう。あー絶対今日剛くんのとこいるよ。AB型のカン!!」
「はい?AB型の勘て言った?何それ」
「ちゃんに聞いてみて。きっとちゃんもあるから」
「う、うん。ていうか相葉くんさ、ちゃんは剛くんと付き合ってるんだからそりゃ一緒に過ごすでしょ」
「それをだんだん許容できなくなってるから重症なんじゃん〜〜」
二番目で良いとか一緒に少しでもいれたら幸せ、だなんてもう思えない。
そう思えていた頃はそう思っていなくちゃいけないって無理していただけだ。
「じゃあもうすることはひとつしかないね」
「え?!なに?!」
「剛くんと別れて俺と付き合ってって言うしかなくない」
俺がずっと言いたくても言えないでいた台詞を事もなげに翔ちゃんが言ってのける。
あまりに正論で何も言えないでいると、「もうひとつ方法がある」って言うから、なに??!と食いついた。
「違う子好きになったらいいよ。ご飯に誘ってきた子でも、他にも女の子はいるんだし」
「諦めるの??を??」
「できないなら剛くんと戦うしかないじゃん」
「うっ……」
「まあ俺的にも相葉ちゃんとちゃんがうまくいったら嬉しいけどさ」
手の中でスマホの液晶が明るく光る。
からLINEの返信がきた。
その瞬間横にいた翔ちゃんが笑い出す。
「相葉ちゃんほんと分かりやすいね。ちゃんでしょ?」
「えっ!!なんで?!」
「顔に出すぎだから。そんなんじゃまたババ嵐で最弱王になっちゃうよ?」
ニヤニヤしちゃってたのかな?
唇をきつく結んでニヤニヤしないようにする。
でも心はあっという間にウキウキしてしまって、連絡ひとつでこんな気持ちにしてくれるを大好きだと思うし、諦めて他に行くなんて考えられないと思った。
そんなの今さらすぎる。
2017/7/14 18号