ドキピー

乱れた軌道

「避けてる?」って笑いながら聞いたら一瞬の目の奥が揺らいだ気がした。
それから早口で「そんなわけないじゃん」って言われて、頭をくしゃくしゃと撫でられた。
剛くんのドラマがクランクアップした8月以降、と会う頻度はすごく減って、俺の仕事はそれなりに忙しいけれど去年末の忙しさに比べたら大したことない。
だから俺的にはたくさんに会いたかったけれど、彼氏じゃないからこういう時もどかしい。
は剛くんを優先してしまう。そんなの当たり前なんだけど、なんかいやだ。


そんな気持ちを抱えて過ごしていた時、歌番組で剛くんと一緒になってしまった。
できればあんまり会いたくなかったのに、こういう時ばったり会っちゃうから困る。
トイレを出たところで鉢合わせてしまって、剛くんは相変わらずの涼しい顔で久しぶりって言ってきた。
最近ゴルフ行けてる?って話しと、コンサートどうですか?タイミング合えば観に行きますね、なんて言ったら差し入れ持って来いよって言われてしまった。
関西のやつらは何故か毎回手土産持ってくるんだけど何で?とか聞かれて、そういえば仲良しのきみちゃんも毎度持ってくるかもしれない。
ていうかそんな呑気な話をしながら前室に戻る途中で気づいてしまった。


剛くんの左耳に光るゴールドの小ぶりな円型のピアス。
がつけていたのと同じだ。
途端にまた胸の内がもやもやとして苦しくて痛い。
そんな事があってからあんまりとは会えてなかったし、もしかしたら……なんて悲しいことを考えてしまった。


「雅紀の誕生日もあとちょっとだね」
「一瞬かもね」
「去年は勢いで会いに行った気がするけど今年は会えないかもね」
「え?!なんで?!」
「だって……コンサートでしょ?それ終わったら絶対お誕生日会やるでしょ…君のとこのグループ」
「た、確かに……」


松潤あたりが店を予約して翔ちゃんが張り切って写真撮ったりニノとリーダーが微妙な誕生日プレゼントを用意してくれる姿が目に浮かんだ。


「じゃあコンサート来てよ!」
「ハズレたもん」
「えー!!じゃあ…俺が魔法の招待チケットを……」
「やだ!ダメ!自力じゃないと!」
「なにそのこだわり!そしたら本当に会えないじゃん」


脱力してをぎゅーっと抱きしめる。
あやすように背中をぽんぽんとされて気持ちが良い。
クリスマスイブで誕生日。この日にが俺のところに来てくれなかったら、やっぱり剛くんと過ごすのだろうか。それならそうなってしまうくらいなら。


「クリスマス会しよ!」
「はい?」
「だから、クリスマス会しよ。家で、コンサート終わったらみんなでしよ」
「24日に?」
ちゃん来てくれるかな…予定あるかLINEで聞いてみよ」


テキパキとスマホを取り出してちゃんと、嵐のグループLINEにクリスマス会のお知らせを送る。


「これで良し。これならも来れるもんね!」


有無を言わさない感じでにっこり笑うと、も仕方ないなぁ、と言って了承してくれた。


「あっ!22時だ!日テレで翔くんがドラマやるんでしょ?サラリーマンの!が言ってた」
「テレビつけなきゃ!え?サラリーマンだっけ?」
「普段通りだよね」


チャンネルを合わせたらスーツ姿の翔くんが映った。本当にいつも通りだ。
がニヤニヤしながらテレビを見ているのをチラリと横目にして、の膝の上に横になった。
これで後1時間は一緒に居てくれる。




2017/10/28 18号